菱川勢一

ホンダCB400FOUR

映像工芸作家

僕は東京下町の印刷屋の二階で生まれた。階下から届くのは、ガシャン、ガシャンという規則的な機械音。それは子守歌の代わりだった。

CBは友達になった。

背中越しに聞こえる、ヘルメット越しの小さな呼吸音。あるとき、その音が途切れ、息子が眠ってしまっていると分かった瞬間、エンジン音が急に大きく聞こえた。守るということは、音に敏感になることなのだと知った。