1940年代の終わりから現在までのアメリカのごく一般的な雑誌から、日常のためのさまざまな商品の広告を切り取ったページが、僕の資料室の棚に高さ一メートルほど積んである。古い広告は新鮮な刺激に満ちている。広告というものは、いろんな力が凝縮された表現形態だからだ。
背景をすべて省略した理由は、エスロクの造形の良さに
あったはずだ。小さなクーペをどのように広告していいのかよくわからないから、赤い色を中心にして車体の造形を限度いっぱいに美化して提示し、楽しげな場面は五人の男女に託してつけ加えた、という出来ばえの広告だ。気楽に作った広告だと僕は思うが、美しいと言うならこれはこれで目いっぱい美しい。